手綱とは|馬具の役割と名称

馬具の名称

人馬のパフォーマンスを引き出す「手綱」

馬と人が直接コンタクトを取るための重要な馬具。手綱(たづな)。

馬や馬具に詳しくない方でもイメージしやすい道具かもしれません。

手綱は、馬がくわえるハミに接続される紐状の馬具で、騎乗者が手に持ちます。手綱の動きがハミに伝わり、馬はそれを指示として受け取ることで、指示通り動いたり、または逆らう気持ちを伝えたりします。指示の種類も様々、手綱を引く力の向きや強弱などで識別します。

若い馬が人間とのコンタクトを学んでいく過程でも手綱は重要なツールのひとつ。馬術競技における演技や競馬のレース展開など、人馬での最高のパフォーマンスは手綱がなければ引き出すことはできません。

人間同様、馬たちも性格や癖は“十人十色”(十馬ですね)です。
乗る馬一頭一頭と呼吸を合わせて、ときには腕や脚など全身を使った指示を、ときには指先の微かな力加減による繊細な指示を手綱を通して送ります。「手綱さばき」は、乗る人にとっても観る人にとっても大きな醍醐味。その時々で人馬がどんな動きでコミュニケーションをとっているのか、馬に関することの中でも奥が深いことのひとつですね。

※ハミ:馬の口の端から端にわたる金属などでできた道具

馬や用途に合わせた手綱を

手綱とは-様々な種類がある馬具

▲馬場馬術の大小勒ハミと手綱

手綱も他の馬具同様に、馬の性質や用途に応じて多様な種類があります。

例えば馬場馬術の上級クラスで使われる「大小勒ハミ」は、2つのハミに別々の手綱を取り付けて、2本の手綱を使って馬に指示を送ります。馬場馬術ではよりダイレクトに細かい指示を伝えることができる、丈夫でしなやかな革製手綱が主流です。

布手綱は、オールレザーに比べお手入れもしやすく、握りやすさや柔らかさもあるため、乗馬、競馬ともに幅広く使われているポピュラーな手綱です。

手綱とは

▲競馬では馬も人も大きく動く

乗馬に比べて使用環境がハードである競馬の調教やレース本番では、騎手の持ち手部分がゴム素材になっている「ナイロン製ゴム手綱」や「革製ゴム手綱」がよく使われています。ゴム部分の内部には丈夫な芯材を通し、厳しい天候の中激しい運動にも耐えられるようにつくられています。

ナイロンのものは厩舎カラーなどカラフルなものも多く、頭絡やメンコとのコーディネートなど、スタイルを見つけるのも楽しみのひとつですね。

ソメスで製造している手綱

少し珍しい手綱としては、「折り返し手綱(引き返し手綱)」があります。腹帯に繋ぎ胸前からハミに通し、馬の頭が上がりすぎないようにする、主に調教で使われる手綱。これも騎乗者の持つ手綱が2本になるので、技術も問われます。

「サイドレーン」は主に調教で使い、馬にハミとのコンタクトや体の使い方を教えるときなどに使います。
「アイリッシュマルタン」はレース中でも目にする機会が多い馬具。手綱が手から離れてしまった際に首下に垂れ下がってしまうのを防ぐ役割や、手綱が広がりにくくなりハミが安定する効果もあります。逆に手綱の可動域が制限されるため、使用を好まない騎手もいらっしゃいます。

この他にも「マルタンガール」や「カップラン」など、手綱に関係する馬具はたくさんあります。状況や用途に合わせて様々な道具を組み合わせて使っています。

馬と道具の相性は千差万別、効果についてもまだわかりきっていないこともあります。

試行錯誤を繰り返してより良いパフォーマンスを追求する人馬たちに敬意を込めて、ソメスサドルでは製品づくりと開発や改良にこれからも取り組んでまいります。

手綱モチーフの革製品

素材と技術に思いを込めて

ソメスの革製品には、鞍や馬蹄など馬や馬具にちなんだデザインのアイテムが多数。手綱もその1つです。

馬と人をつなぐ手綱は、その薄さと細さからは想像できないような多彩なコミュニケーションを引き出します。意志や感情を伝達する手綱には、人智を超えた可能性が秘められている気がしてなりません。

革という、手間と時間のかかる素材。それをひとつひとつ形にする職人たち。脈々と続くそれぞれの物語が、「手綱」を介するように使う人と“つながって”くれたら。これ以上うれしいことはありません。

「レインズ」シリーズはその名の通り、ショルダーやハンドルに「布手綱」を。キーフォブでは手綱の美錠のデザインを取り入れて、その世界観を表現しています。ぜひ、お手にとって感じてみてください。


記事TOPの写真協力:モモセライディングファーム様/ペルーサ号

 馬のことと馬具のこと

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